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今回は、メルマガ・ステップメールASPの「オートビズ」を運営されているビズクリエイトの経営者、渡辺哲也氏にインタビューを行いました。インタビューは全5回でお送りいたします。

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「メルマガは終わった」と言われ続けて

創業期から既に10年以上が経ち、スマホやチャットアプリが普及しました。その中で、オートビズを取り巻く環境に変化を感じますか?

基本は、あんまり変わってないですよ。新しいものが出てくるたびに、「メルマガは終わった」と言われまくってますけど、なかなか終わらないんですよね。

だって「これからはLINE@だ!」「Facebookだ!」ということを、メルマガの中で言っているんですから(笑)

 

確かにそうですね(笑)

SNSを使ったとしても、結局はリストを作ってメルマガに繋げるんですから。

もちろん、個人間のやり取りは、完全にLINEとかに置き換わってますよ。

でも、事業者とお客様の間、つまり商取引の部分は、まだまだメールが強いです。楽天やAmazonで何かを買えば、購入確認やリコメンドが絶対にメールで送られてきますからね。

 

SNSの台頭でより明確になったと思いますが、メールボックスというのは外に開かれていながら、とてもパーソナルな領域ですよね。

だから、ここに土足で入られてしまうと、すっごく拒否反応を示します。LINEやTwitter、Facebookとは、コミュニケーションの質が大きく違うんです。

一方で、このパーソナルな領域にスッと入り込み、ハートフルなメッセージが届くとコロっといってしまう。それはずっと変わってないんです。

 

「相手の心に踏み込むようなコミュニケーションが刺さる」という点は変わらないということですね。

特にステップメールは、作り込み方で差が出るコミュニケーションです。

とはいっても、「きちんとしたコンテンツがないとダメ」というわけではないんです。お客様のためを思ってやればいい。

一言でも二言でもいい。相手のためを思って作っているなら極論「最近どう?」でもいいんです。

 

そんなにフランクでも構わないんですか!?

勘違いされている方が多いんですけど、売り込みなんて本当にいらなくて、単純に「最近どう?ちゃんと使ってる?」みたいなのでいいと思うんです。「何かわからないことあったら連絡ちょうだいね」でも構いません。

そうすると「あぁ、気にかけてくれてるなあ。」「そういえば最近ちょっとこれ使ってないなあ。もっと使おうかな」と思ってくれる。

 

むしろ、ギュウギュウにメッセージを詰め込むと、ちょっと重くなってしまいます。

しばらくコンタクトをとっていないのに、たまに連絡が来たらズラーっと文章がかいてある。こうなると「ちょっと重いな」「なんだよ散々ほっといたくせに」ってなりますよね。

「どうせまた何か売りたいんだろ」というのが伝わっちゃう。

 

自分がお客さんの側に立って考えるということですね。

スマホやチャットアプリが普及したことで変化した面も多々ありますが、「コミュニケーションのスタンス」は全然変わっていない、と僕は思っています。単純にツールが増えたというだけであって。

ビジネスで一番有効なのはまだまだメールなんだな、というのが現状なんですよ。先のことはまだわかんないけど。

メールアドレスは資産

メールがよくて◯◯はダメ、ってことじゃないんです。

各ツールをよりシームレスに連携させる使い方が主流になるでしょうね。例えば、LINE@からメルマガに誘導するとか、そういう使い方をされている方がたくさんいらっしゃいます。

これは、各ツールの特徴を活かして連携している一例です。

LINE@とかSNSは「窓口」。出会いのきっかけではあるんですが、「相手が誰で、どんな人か」というのが明確にならず、繋がりがゆるい。

 

一方でメールは、1ユニークユーザー。メールアドレスを知っていれば、その方とはこれから先も繋がりを持ち続けることができます。

僕らはこのことを「プラットフォームに依存しない」と言っているんですけれども。

仮にLINEがだめになっちゃったら、LINEで築き上げた関係が終わってしまうんですよ。

LINEだって一企業ですから、何があるかわからない。Facebookも、Facebook自体がダメになっちゃったら終わりですよ。

何年か前にmixiが流行っていましたが、そのプラットフォーム自体が流行らなくなったら、だれにも届かなくなってしまいます。

 

プラットフォームでの繋がりには寿命がある、ということですね。

メールアドレスは、リストを取っておけば、仮にオートビズがつぶれても、送り先の方々との繋がりが途切れることはありません。メール配信のサービス・システムは他にもたくさんあるから、影響を受けない。

メールアドレスを集めることは、ビジネスにおいて資産を構築することだと考えています。その人たちとコミュニケーションをすることを通じて、資産価値を高めていく。

「お客さんとの繋がり」はかけがえのない資産で、それは簡単に手放してはいけないんです。

お客様と繋がりがあること、それ自体が資産になるのですね。

僕らも小さい会社で、「いかにビジネスを効率化するか」を考えてやっています。でも、すべてを自動化したいとは思ってないんですよ。

自動化できない部分というのは絶対にあります。そこに力を入れてもらうために、自動化できる部分はシステムをうまく使いましょうよ、ということなんですね。自動化できない部分というのは、個別のコミュニケーション、担当者間のつながりみたいなものです。

個別のコミュニケーションにきちんと取り組むために、ある程度定型化できるものは定型化・自動化すればいいじゃないですか。

自動化できる部分すら自分でやっていると、本来時間を割くべきところに時間を割けなくなってるんですよ。

 

なるべく僕らは、小さい事業者がネットの恩恵を受けられるようなものをつくりたい。そこからチャンスを広げてもらいたい。

もちろん大手の方にも使っていただきたいですけど(笑)

 

オートビズについて、周囲のユーザーからの声として「アフターケアが充実している」「サポートが嬉しい」という声をよく聞きます。

サポートに力を入ることも、「お客様のためになるってなんなんだろう?」にこだわってきた結果なんです。

 

お客様の方を向き続けていたら、絶対に間違いない。でも、みんなライバルの方を向いちゃう。

ライバルがこういう戦略をとっているから、うちもそれに追随しなきゃ、とかいってお客さんが置き去りになっちゃうんです。

それで「こんな機能つけました!どーん!」ってやっても、お客さんからしたら「別にそれいらないんだけど…」「そんなことよりもしてほしいことあるんだけど」となってしまいます。

 

感謝・感激・感動。「三感力」を高めてお客様に接する

表面的に「オートビズのようにサポートを充実させよう」と真似しても、うまくいかないのもそういうことですよね。

サポートを、どう真似るか?だと思うんですよね。表現しにくいですけど、僕らは「三感力」という言い方をしていて。

感謝・感激・感動の三つの感じるチカラ。

 

まず、感謝というのがベースにないとダメだと思っています。

だって、基本的なところでいったら、たくさんあるメール配信システムの中でオートビズを選んでくださったっていうだけで、もうめちゃくちゃ感謝ですよ。「うちを選んでくれた」というところに、まず感謝する。

今こうやって飯が食えてるというのはお客様のおかげ。ここがスタートラインです。

「お金をいただけるのが当たり前じゃないよ」という意識が、うちの会社には根付いています。僕が苦労をして会社を築き上げて来たからこそ、ここは譲らない。

 

その感謝を込めて、期待値を超えます。これが感激。

どんな場合にも期待値って絶対あるんですよ。「このくらいのサービスは受けられて当然だろうなあ」という期待値。目に見えるものではないけど、ぜったい誰しもが持っているものなんです。

例えば、3000円くらいで利用できるメール配信サービスがあったら、ユーザーさんは「3000円払ったら、だいたいこういうことしてもらえるだろうな」という期待値を持っています。

“こういうこと”のなかには、きっと「ユーザーへのお礼のメール」とかも含まれているでしょう。メールサービスの会社なんだから、メールでお礼がくるのが当たり前だと思うんですよ。当たり前であって、なんとも思われない。

だから僕らは、手書きの葉書を送ってるんです。全部手書きで、メッセージも書いて、一件一件送ります。

メールの会社なので、お礼の葉書が届いたらみんなちょっとびっくりするんですよ。

こうやって、「うちを選んでくれてありがとうございます」という感謝を伝えて、このご縁を大切にしていきたいです、と姿勢を伝える。

 

ここからスタートして、ハートフルな親身な姿勢でお客様と付き合っていく。こうして感動が生まれるんです。

親身な姿勢というのは、例えばサポートに電話したら、事務的ではなく丁寧に話を聞いて、あったかい対応をしてくれるということ。

サポートに電話したとき、「事務的に対応されるのかなあ…」と思っていたら、親身になってくれる。あったかい対応をしてくれる。

ただヘルプを紹介するんじゃなくて「こうするといいですよ」と一緒になって考えてくれる。「そこまでしてくれるんだ」という暖かさを感じられるような姿勢で感激を実現して生まれるのが、感動なんです。心を動かされてしまう。

 

もちろんこれで終わりじゃなくて、「三感力ってなんなんだろうねえ」「どうしたらもっと伝わるのかな」ということを、常にみんなで考えています。

顔が見えないからこそ、大切なこと

テクニック的にこうするといい、ということじゃないんですよ。

僕らはメールサービスだから、基本的にはお客様と会うことはありません。顔が見えないなかでやっているからこそ、どうしたら人の気配を感じてもらえるか? を真剣に考えました。

すべてのベースになるあったかいものがあって、それを伝えるため、相手に感じてもらうための手段のひとつが葉書なんです。

 

すべて手書きというのはすごいですね。

今の時代、全部印刷でやったら楽ですよ。ポチッとしたら全部バーっと印刷できるのを、宛名を全部手書き、メッセージも全部手書き。ただ葉書を送ればいいってことじゃない。

お客様番号やセールスメッセージは一切いれません。DMではありませんから。

「数あるメール配信システムの中から、オートビズを選んでいただきありがとうございます。このご縁を大切にしてゆきたいので、これからもよろしくお願いします」「これは何かの縁だから、これからこのご縁をよりよいご縁へと育んでいきたい」という気持ちが伝わるように、その一心でお送りしています。

 

お客さんにその気持ちが伝わっている実感はありますか?

解約していくお客さんも一定数います。その解約時のコメントに「不満はまったくありません」とか「単純にこちらの原因で」みたいなことが書いてある。

「本当によくしていただいてありがとうございました」と言って解約されていく方もいらっしゃいます。嬉しいです。

 

感動は必ず何らかのかたちで僕らに返ってきます。

身近な例では、紹介とか口コミです。「あそこいいよー。わかんなかったら電話で聞けるし」「オートビズさんはほんとに親切だよ」とか。

基本的にドライな関係が多いWebサービスの業界において、こういった感想をいただけるのは、すごくありがたいことだと思っています。

人の気配を感じないし。システマチックなところが多い。「親切だよ」とか「優しいよ」とかそういう評価はなかなかないと思います。それはうちの強みですよね。

うちみたいなwebサービス、無機質な、人の気配を感じないビジネスであればあるほど、そういう「思いを伝える」とかが大切になっていくと思っています。

 

見本・信頼・支援

こういう考え方については、福島正伸さんの影響が大きいと思います。

メンタリングといって「見本」「信頼」「支援」っていう3つのキーワードがベースにあります。

 

自分がどうあるべきか、自分がどうありたいか。それがお客様とか社員から見て、「僕は見本になれてるのかな」と考えるのが出発点です。それが「見本」の考え方ですね。

 

虚勢を張るんじゃない。ありのままの自分でありながら、どうあろうとしているか、を見せる。

失敗しても失敗しても、諦めずに向かっていく姿勢を見せる。

常にポジティブにプラスに変換できているか、どんなできごとからも学ぼうとしているか、を見せる。

 

次に「信頼」というのは、その人の中の可能性を信じるということ。ただ「その人を信じる」とは少しニュアンスが異なります。

期待はしない。他人には期待しちゃダメなんです。期待していいのは自分だけ。期待というのは、勝手な「こうなってほしい」という思いを押し付けているだけ。

相手はそうなりたいと思っていないのに、「こうなってほしい」と勝手に押し付けているんです。そのくせ、思い通りにならなかったら「裏切られた」って思うんですね。

期待するから、辛いのであって、期待なんかしない方がいい。自分にはどれだけ期待をかけてもいいけれど、他人にはかけてはいけない。他人にしていいのは、信頼だけなんです。

その人が今どれだけ駄目であったとしても、その人の未来はわからないから。

 

最後に「支援」。直接的に、何か目に見えることをしてあげるだけが支援じゃないんですよ。

物理的な支援ではなく、精神的な支援というか。側にいるだけだったり、気にかけてあげるだけだったりでも、ものすごく支えになる。

地球の裏側にいても、支援することはできる。物理的な距離よりも心の距離が大事です。

 

お客さんに対しても、社員に対しても、ほとんどの人に対しては、物理的に側にいてあげられないことの方が多いわけです。だから、メッセージとして、いつでも側にいるよということを伝えてあげたい。

何かあったらあなたのために24時間いつでも時間をつくるから、連絡してね、と言ってあげる。

 

この3つが、僕のベースになっています。

たとえば社員のことを信じていても、辞めてしまう、ということがある。

結果的に、その人が辞めることになって、損害を与えられたこともありました。でも、恨むとかそういう感情は、本当にないんです。

最後まで信じられたからいいや、って思えます。

信じるっていうのは難しいけど、信じると決めてしまえば信じられるものなんですよね。それで裏切られたとしても、信じようとしてた僕の心は偽りではない。

「信じ切れた」というのは褒められる。結果が裏切られた、というだけのことです。

 

「ただ、する。」

「ただ、する」という大久保寛司さんの話がすごく好きなんです。

短い言葉なんだけれども、めっちゃ深い。

 

簡単そうだけど、すごく難しい。

何か自分が行動を起こすとき、表面的には「そうしたいと思ったからそうする」のだけれど、そこには絶対、見返りを求める心があったりするんですよ。

「こうしたんだから、こうしてもらって当たり前」っていう気持ち。さっきの期待値の話にも近いですね。

たとえば「挨拶したんだから挨拶返してもらって当たり前」と思ってたら、返ってこなかったときに「なんだよ」ってなる。

相手が挨拶を返そうがなんだろうが、僕は、会ったから「おはよう」って伝えたいからおはようって声をかけただけで、それ以上でも以下でもない。

 

ただしたいと思ったことをしただけで、それが達成できてるんだ。それでいいじゃないか。そういう考え方です。

普通は何かしたんだから、見返りを求めてしまうんですよ、絶対。ある意味当然のことですし、お客さんのそれには応えていく。

でも、自分は求めない。すごい境地だなと思うんですけど。

 

相手がどうであっても、自分がそうしたいからした。だから、それでいい。

こういう考え方をしていると、何をするにしても、満足度がすごく高い。変なストレスがなくなってるんです。自分がしたいことがやれてるんだから。

相手からも何かしてくれたら、もちろん嬉しいです。でも、何もしてもらえないとしても「自分のやりたいことはやれているからいいじゃないか」という考えなんですよね。

僕はまだ、そこまでの境地にはいってないですけれど、だいぶ上手くさばけていると感じます。

だから、どんどん前に進んでいける。

 

特に、この考え方のすごさを実感するのは、何かを始めるときです。新しいことをやるときは、やればやるほど問題しか起きない。
よくここまで問題起きるなあというくらい。

それでもやれてるというのは、心の持ち方ひとつだなって思います。

 

メルマガが続かない人って、きっと「メルマガ出したんだから絶対何かしらのレスポンスがあるはず」って、期待しちゃうんですよね。

これは、「ただ、する」の感覚じゃない。見返りを求めてしまっている状態です。

 

メルマガで成果を上げることは大事ですけど、それよりもまず「自分が伝えたいから伝えてるだけ」といことを忘れないのが大切です。自分のしたこと・送ったことが、相手にどう受け取られるかは、相手に委ねるしかありません。

その前提で「共感してくれる人がいればいいなあ」くらいの感覚でいれば、気が楽になると思います。

 

メルマガを送るということにも「ただ、する」の感覚で取り組んでみてもらえればと思います。

期待して、見返りを気にしちゃうと、書けない。伝えられなくなっちゃう。

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