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「あなた詐欺師ですか?」

そうは言いながらも、大変な時期は長かったです。
まだまだ受託の仕事もしていて、地元(群馬県)でデザイン会社の一画を借りてオフィスにしていました。

そのデザイン会社は外資や大手企業の仕事をしていて、僕らも一緒になってマーケとか開発を担当させてもらいました。

某自動車メーカーの新車プロモーションのメール配信システムも開発させてもらいましたよ。

ここまで大きなプロジェクトは初めてで、プレッシャーもハンパなくて肉体的にも精神的にもキツかった。

それと同時期に、ある会社のサイトリニューアルのコンペに勝ってしまって。まず取れると思わなかったので予想外でした(笑)

 

完全に同時進行だったんですが、相手の担当者がちょっとひどくて、夜中の一時とかに平気でいきなり電話がかかってくるんです。

「ちょっとあの件なんですけども」「修正してもらっていいですか」とか「ページ追加してもらっていいですか」バンバン来るんですね。

それはキャパ的にかなり厳しかったでしょうね

それでも、どうにか良い物にしたいから一生懸命に対応してました。

ヒリヒリしたスケジュールのなか、どうにか仕上げて請求書を送り「やっと一息つける」と思ったときに電話が鳴ったんです。社長から直接連絡が来て「今すぐ来い」と。

 

大急ぎでオフィスに行くと、社長が見積書と請求書とバッと出して「何ですかこれは」とおっしゃる。

「見積もり金額と請求金額が全然変わってるじゃないか」って。そりゃ、変更依頼が度重なって、ページ数は倍ぐらいになってますからね。当然、金額も変わります。

「ちゃんと担当の方と話してやりましたよ」と言っても「ウチはこれしか予算取ってないから」と話にならない。

「担当に聞いたら、そんなの知らないって言ってる」とも言われました。

「そんなはずないでしょ!勝手にやるわけないじゃないですか!」と反論したんですが、

「おかしいでしょ。倍になるなんて。おたくはこれで見積もり出してるんだから、これでやるのが普通じゃないの?」「そちらはこういう詐欺みたいなことをやってるんですか?あなた詐欺師ですか?」とまで言われてしまったんです。

 

それはショックですね…

その会社のために寝ずで対応して、お役に立ちたい一心で頑張ってきたんですよ。
なのに「詐欺師」と言われるなんて…。

そのあとどうやって家に帰ってきたか記憶がないんです。ただ、目の前でガラガラと色んなものが崩れてしまった感覚だけは覚えています。

それからですね、なんにも手つかなくなったりとか、感情のコントロールができなくなったりするようになりました。おかしいなあと思ってね、ネットの”鬱チェック”で調べてみたところ、見事に当てはまってる。

 

まさかと思ったけど、仕事に支障が出てきたので病院に行ったら「鬱病」と診断されました。

自分が鬱になるなんて思ってもなかったので、そんな自分が情けなくて自己嫌悪でしたね。

そうして薬を飲みながら仕事をするようになったんです。

 

鬱との苦闘とコーチとの出会い

そうやって鬱になったのは2004年くらいなんですけど、その少し前2003年くらいにある異業種交流会である方と出会いました。

その方の肩書が「コーチ」だったんです。それから「コンサルに活かせるのでは」とコーチングの初歩的なことを学んでいきました。

ただ、おかしくなってしまってからは「コーチングなんて」とどうでもよくなっていました。

そしたら、ちょうどそのコーチの方が「私のコーチング受けませんか」と言ってくださったんです。だから「鬱になってしまった」って素直に打ち明けました。

 

本来はコーチングは鬱の人に対してできないんですよ。カウンセリングとコーチングの違いについて、ご存知の方も多いかもしれませんね。

言ってみれば、マイナスをゼロにするのがカウンセリング。ゼロ以上の人をプラスにしていくのがコーチングです。

すでにプラスの人をさらにプラスに伸ばしていくのがコーチングなんですね。

鬱の状態で「いや、できねーって俺は…」と思っているのに、「どうしたらできるようになると思う?」とか言われてもきついんですよ。だからコーチングアプローチっていうのは、鬱の人に対しては絶対にできない。

 

でも、そのコーチの方は、コーチングを受けられない僕に対して、励ますでもなく、「渡辺さんも起業してずっと突っ走って来たから、疲れてるんでしょう?」

「神様もちょっと休んでこれから先のこと考えれば?って時間を与えてくれたんじゃないの」「まあ心も風邪ひくっていうしね」と。「まあ、いいんじゃない?」って。

 

ビジネスをやっている以上、資金繰りの問題もありますし、「休めない」と思ったのでは?

ぶっちゃけ思いました(笑)

でも僕は自分を見失ってたし、将来のことも描けなくなっちゃってたんですね。

お金ないけど、やることはやらなきゃいけないし。でも、無理にやり続けるのもどうなんだろうなと思ったんですね。

 

その方とのやりとりは、ほとんどがメールでした。ちょこちょこと「最近どう?」みたいな感じのメールをくれるんですよ。

メールの中で、僕の視点を変えてくれるようなところを聞いてくれるんですよね。

するとそのうち、僕もちゃんと打ち明けられるようになっていった。

嫌われる怖さを乗り越えた、ある一つの質問

要するに、僕は嫌われるのが怖い。

「本当の自分がバレてしまったら、みんな僕の周りからいなくなっちゃうんじゃないか」という恐怖があるんです。だから出来るように装う。

たいして出来もしないのにできるって言ってみたりとか、虚勢を張ってみたりとか。本当の自分じゃない自分でいなきゃいけなかったんですよね。

 

嫌われるのが怖くて、背伸びをしてしまう、ということですね。

“渡辺さんの周りに100人の人がいるとして、背伸びした渡辺さんに全員が「いいよー」と言って一緒にいてくれてる状態だとするよね。ところが本当の渡辺さんを見せたら、99人が去っていった。でも一人だけ、本当の渡辺さんでもいいよ、という人がいたとする。偽りの自分で100人と付き合うのと、ほんとの自分で一人と付き合うのと、どっちがいい?”ってコーチに聞かれたんですよ。

この質問には僕も相当悩んだんですよ。「いやでも、99人に去られたらきついな」と思って。

だけど、本当の自分をさらけだして「そんなお前でもいいよ。付き合ってやるよ」って言われたら、なんか僕はその人のために色々頑張れそうだなと。

なんか一人でいいやと思えたんです。

一人でも、僕のことをいいよって言ってくれる人がいるんだったら、ゼロじゃない(笑)

それは家族かもしれない。僕がそんな状態でも「頑張れ」と言ってくれるビジネスパートナーもいる。お客さんもいる。
なんだかんだ一人ってことはないじゃないか、って。

 

僕はその人たちのために、これから頑張ろうと思ったんですね。

「大きく見せようとするのをやめて、本当の自分を出そう。やりたいことをやりたいようにやっていこう。誰に遠慮する必要もないんだし」と思って。

そうしたら、急に楽になって言って、そこから鬱を抜け出せたんです。

少しずつ薬を飲まなくなりました。なんとなく、やる気が出て来る、あれ?と。

 

そうして鬱を抜け出して、僕は「オートビズを育ててたくさんの人に提供する!」という決意が固まりました。

そこから、ぐーっと、ビジネスの調子が良くなったんです。

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